二都物語を観に行ってきた。
久しぶりの舞台鑑賞はやっぱりわくわくする!帝国劇場のたたずまいも相変わらず素敵でした。
話の内容も、舞台となる時代さえも知らずに鑑賞したけれど、レ・ミゼラブルとほぼほぼ同じだったので話の筋は飲み込みやすかった。
というより、レ・ミゼラブルと雰囲気も話の構成要素もそっくり。
最初は違いを見つける方が難しかった。
■レ・ミゼラブルとの違い
違いを考えてみたら、同じフランス革命がテーマでも、原作者の立場が全く違うことに気付いた(当たり前。。)。
私の浅い認識では、レ・ミゼラブルの方はフランス人が、二都物語はイギリス人が見たフランス革命で、イギリスから見ると、全てを称賛できるような感じではなかったんだなと思った。
第2幕のはじまりに出てくる革命をテーマにした大道芸は、怪しげな音楽に乗せて下品に見せていて、かなり意地悪な表現だと思う。
逆に、処刑される側の貴族へは、レ・ミゼラブルよりも同情心があって温かみはあった。
フランス革命はヨーロッパ中で称賛されたものかと勘違いしていたので意外だったけど、よく考えれば距離がある分見解が違うのも当たり前だと気付いた。
とはいえ、“物語として盛り上がる要素”の認識は英仏で同じだったみたいでおもしろい。
見返りを求めない愛、深くてやりきれない恨み、酒場のノリ、こどもの犠牲、ピュアで育ちのよい女性、などなど。
よく分からないけど、キリスト教的な世界観は共通していたのかも、と思った。
■役者さんの実力
お芝居の種類としてもレ・ミゼラブルと同じで、群像劇だった。
最後の方なんて特に展開が早くて、あのひとのために泣いた30秒後にはこのひとのために泣いて、といそがしい。
そんなに詰め込んでも感情移入できるのは、やっぱり役者さんが素晴らしいからだと思った。
どの方も素晴らしかったけれど、特に感激したのはマダム・ドファルジュ役の濱田めぐみさんと、テヴレモンド伯爵役の岡幸二郎さんだった。
濱田めぐみさんは、彼女にしかうまくできない役がいっぱいあるなあと思わせるような、圧倒的な実力だと思う。
彼女が歌うといつもぞくぞくします。同じ時代に生きていることに感謝したい。
そして岡さんは“別世界の住民”感がすごかった。
別の星で育てられてある日地球にぽんと置かれたような、民衆とは絶対に相容れない感じ。
しゃべらなくても、雰囲気でもう和解の望みがないことがはっきり分かる、やりきった演技だと思った。
レ・ミゼラブルでは革命側のカリスマ、アンジョルラスがあんなに素敵だったのに・・・!
とにかく、ほとんどどのキャストの方もしっかりキャラクターが深いところからできあがっていて、すんなり感情移入することができて素晴らしかった。
■私の好きな人格
今回の主役、シドニーの役がとても好きで、自分が尊敬するひとのタイプを再確認してしまった。
シドニーが見返りを求めずに愛を捧げ通すところがクライマックスなのだけれど、シドニーがピュアで汚いことをあまり知らないからこそ愛を信じられるキャラクターだったら、私はあんまり感動できなかったと思う。
彼は酒に溺れて最低の仕事をしてきたり、ずるくて汚いこともたくさんやってきたりして、世の中を裏側までしっかり知っているひとだった。
その上でルーシーのピュアさを本気で信じ、愛せるというところが尊いし美しいと思う。
そういう奥行きのあるひとに私は本当に憧れてしまって、そんなひとの愛や腹の据わり方に感動する。
私自身は世間知らずで、とてもそんな風になれそうにないけれど、せめて何も分かってないなりに一生懸命生きようと思いました。・・・って漠然としすぎて何も言えてない感じですが。
次はモンテ・クリスト伯を観に行く予定です。