先輩がFacebookでおすすめしているのを見て、「嫌われる勇気」を読んでみた。
「もっと深淵な学びが得られるのに、タイトルで損してる」という先輩のコメント通りの内容だった。
「嫌われることを厭わず、目標達成に必要な行動を起こさないとってことでしょ。そうだね。」とか思ってたけれど、そんなものじゃありませんでした。
■どんな内容?
アドラー心理学の考え方を対話形式で紹介する内容。"嫌われることを厭わない"という内容は、そのほんの一部。
悩める青年がアドラー心理学のスペシャリストである哲人のもとを訪れ、幸せとはなにか、どう生きるべきかなどについて対話を重ねていく。
アドラー心理学について軽くまとめると、、、
主な特徴は、下記の4点に整理されるんだそう。
・全体論:
人間を分割できない全体として把握する。理性と感情・意識と無意識などの対立を認めない。
・目的論:
行動の原因でなく目的を理解しようとする。過去のトラウマや育った環境などからの呪縛を認めない。
・認知論:
客観事実よりも、その事実に対する個人の主観的認知を重視する。(Glass half ful or half empty の話)
・対人関係論:
精神内界よりも個人とその相手役との対人関係を理解しようとする。
そして青年が問いただしたい”幸せ”は、アドラー心理学で
「自分がコミュニティに所属し、そのコミュニティに貢献していると感じられること」
と定義されている。
■なぜ学びが得られるの?
いわゆる”常識”とは違う考え方が多いから新鮮だった。
同じ問題について別の見方をするきっかけになったり、試しに実践するということがしやすいと思う。
既に持っている”常識”の延長線上だと、「それ知ってるけどなかなかできない。。。」で終わっちゃいがちだから。
特に「目的論」の考え方はおもしろい。
いま起きている問題は過去の行動などの結果ではなくて、無意識に持っている目的を達成しようとして起こしちゃっているという考え方でした。
■具体的にはなにを学んだの?
考えさせられることが多かった中で、特に学びがあった点を整理しておく。
- 今起きている問題を「目的論」で考えること
普通は原因があって結果があると考えるから、今起きている問題は過去の経験や環境の結果だと認識する。そういう考え方だと、過去に囚われてしまって今を変えられないが、大切なのは”いま、ここ”である。
問題には意識/無意識両方含めた「目的」がある。一見本人が解決したがっている問題でも、真の「目的」に沿っているから解決することができない。
<例>
「小説家になりたいけど、なかなか小説を書く時間がとれない」という問題
うわべの問題:
仕事が忙しくて時間がとれない、家でひとりになれる環境がない
目的:
「書きさえすれば受賞するはず」という可能性を残しておきたい
過去のせいにしてしまうのは苦しいけれどある意味楽だからやってしまいがち。それに向き合う手段として、目的論を持っておくのは有用だと思った。
- 「自分の課題」と「他人の課題」を整理すること
「その選択によって最終的な結果を引き受けるのは誰なのか」という観点で課題を整理し、人の課題には踏み込まない。そして自分の課題には人を踏み込ませない。
ただ、他人の課題であっても、その人が課題に向き合えるようにサポートすることはできる。
<例>
「こどもが勉強しない」という課題
こどもの課題であって、親の課題ではない。なぜならば、勉強しないことによる結果を引き受けるのはこどもだから。
親ができるのは、こどもに「自分は勉強ができる」という自信を持たせるなどしてサポートすること。
「自分の決断に対して相手がどう思うか」ということも相手の課題。
自分はなにができるか、なにに対して責任を負うべきで、なにに対して気にしないでおくのか見分けるのは相当大事だと思った。
- 議論を通して呑み込みにくいことに対する理解を深める方法
この本はアツい対話形式で構成されていた。青年は自分とは全く違う考え方を知って、時に反発し、時に憤りをぶつけ、徐々に理解を深めていく。
この形式がとても勉強になった。
私は新しい課題とか考え方を聞いた時、自分なりに言葉を置き換えて繰り返すことで理解が正しいことを相手に確認することをしている。
でも、あとから理解が全然違って涙目になることが多く、困っている。
この問題のヒントとして、青年の哲人に対して議論を展開するやり方や、問いただす方法が活用できそうだった。下記の内容を試していこうと思う。
・とにかく「なぜ」を問う
・反例をぶつける
・反例をぶつける
・真っ向から否定し、自分の考えとの相違を説明する
・ラベル付けしてみて、違いを説明してもらう
・混乱し始めたらすぐそう伝える
・「極端に言うとこういうことだけど、それだめじゃない?」と聞いてみる
- 本からより多く学ぶ方法
読んだ本からより多くを学び活用するために、今回読み方を変えてみた。
いつもは全部読んでしまってから内容を振り返ってまとめたりしていたところを、今回は章ごとに振り返って、内容と疑問点、自分の考えを整理するようにした。これが良かった。
いつもは全部読んでしまってから内容を振り返ってまとめたりしていたところを、今回は章ごとに振り返って、内容と疑問点、自分の考えを整理するようにした。これが良かった。
今までは理解したつもりになっていたが、自分のものとしてしみこむところまでいかなかった。
それは、自分の考えとの相違が整理できていなかったからだと思う。
私は頭の中でささっと整理しながら読み進められるタイプじゃない。
なので、新しい概念を一つ一つ自分の中で再構築することで、その概念が自分にとってどんな意味を持つのか分かるようになった。
また、次の章はその整理に基づいて読めるので、疑問・反論のポイントが明確になった。
さらっと読んじゃうと、「そう言われればそうかも」で終わっちゃうんだなと実感した。
■なにを実践するの?
さしあたっては、「やせる」という問題において実践してみる。
これは長いこと無駄に頭を悩ませている問題で、根本的に考え方を変えるというのはいいトライだと思った。
問題は、夜中に目が覚めていろいろ食べてしまうので太ってしまい、つられて昼間の意識も甘くなってしまっていること(昼間我慢して夜中の暴食が悪化しないようにとか、ちゃんと食べた方が寝れるかも、、、とか)。
まずは問題の捉え方を変えてみる。
今までの考え方:
やせないのは、夜中に起きてしまうから。
起きてしまう原因は分からないし解決できない。起きると抑制がきかなくてしぬほど食べてしまう。
朝走ったりして、相殺しようとがんばってはいる!
アドラー心理学での考え方:
やせないのは、現状を変える勇気がないから。
「現状を変えたくない」という目的があるから眠れないという事態が改善されない。
眠るようになると、努力が足りないことに言い訳できなくなってしまうから、自分という人間全体のプロコンで考えると、眠れなくても食べちゃうことに言い訳がきく方がいいと判断している。
実施する具体策はいろいろあるけれど、ここは特に今までと変わらない。
ただ上記の通り意識が変わるだけで、我慢できる程度が上がる気はしている。ここは実際にどう変わったか振り返りが必要。1週間後に測ろう。
ただ上記の通り意識が変わるだけで、我慢できる程度が上がる気はしている。ここは実際にどう変わったか振り返りが必要。1週間後に測ろう。
■所感
「7つの習慣」と本質的に重なる部分も多くて、どんな経験をどの切り口から切っていっても、最終的にたどりつく”真理”というものがやっぱりあるんだなと思った。読んでよかった。
「7つの習慣」でも出てきた名言がやっぱり心に残ったのでメモ。神よ救いたまえ。
God grant me the serenity to accept the things I cannot change; courage to change the things I can;and wisdom to know the difference.