今さらながらシンドラーのリストを観た。
なるほど名作と言われるわけですね。長くて重いけれど、観てよかった。
シンドラーという人に、そして大げさに言うと人間がどこまで尊くなれるのかということに、かなりびっくりした。
話としては、ナチス党員のシンドラーという事業家さんが、アウシュビッツで虐殺されそうになっているユダヤ人たちを「自分の工場の労働力だ」と言い張って、1,000人以上を故郷に連れて帰って助けるというもの。
最初はそれこそ安い労働力としか見ていなかったのに、一人一人が尊い命だと気付いていく。最後には、「人を殺すものを作りたくない」とか言って、工場で作る武器もわざと規格外のものしか生産しなくなったくらい。
その行動は、極端なひとだなあと思いこそすれすごいとは思わなかったけれど・・・。
びっくりしたのは、戦争が終わって彼が工場から去るシーン。
1,000人以上の人を救い養ってきた彼は、皆から感謝の言葉と贈り物を受け取ると、「もっと多くの人を救えたのにしなかった」と泣き崩れる。
これだけ感謝されておいて、抑えきれないほど自分への責めを持っているなんて。
予想外だったし、切なくなった。
このひとは分かってやっていただろうに、とも思った。
自分の力には限界があるとは知りつつ、一部だけでも救いたいという割り切りのもとで動いていたはず。
でもその割り切りは、相当がんばって無理やり整理したものだったんだと思った。救いたい、なんとかしたいというどうしようもなく強い気持ちを、力ずくで押し込めていたんじゃないだろうか。
そんな尊い気持ちが強くわきあがってくるなんて、すごいひとって本当にすごい。
シンドラーさんとは対照的に描かれているのが、ドイツ軍の偉い人Armonさん。
冷徹で、非道で、ユダヤ人たちを殺すのを楽しんでいる。
でも全く救いようがない分かりやすい悪人ではなくて、このひともある意味戦争の犠牲者かも、と思わせるような描き方だった。切ない。
戦争という状況だから、自分に見合わない権力が与えられてしまう。
それが勘違いだと薄々気付きながらも、その力に溺れてしまう。
それはそれでかわいそうではあるけども、はた迷惑だなあと思ってしまった。
しかしシンドラーさんの使う英語はかっこよかったな。
究極にシンプルな言葉に突き詰められていて、怒る時もリズミカルだった。
ここにQuoteがいっぱいあります。