2014年3月1日土曜日

Bill Cunningham New York

ビル・カニンガム&ニューヨーク」を観た。
NY Times の On The Street は見たことがなかったし、もちろんビルのことは知らなかったけど、なんとなく気になっていた映画。

私はファッションに対する関心が強いわけではない。
でもこの映画に惹かれたのは、彼が何かに夢中になってる大人げない人だからだと思う。
心からうれしそうに人々のファッションを観察して写真に収める姿が、本当に魅力的だった。
観終わった時、彼のその夢中になっている姿がやっぱり素敵だなと思ったし、ファッションというものに対して考えさせられた。



映画の中でビルは、ファッションとは個性を表現するものだと語っていた。みんな個性があるのに、勇気がなくてつまんない格好をしている。だからその中でも個性を堂々と表している人を撮るんだそう。

私の考えは少し違う。ファッションは基本的にコミュニケーションの手段で、以下のようなことを見分けるのに役立つと思っている。


  • 自分と話ができそうかどうか
良くも悪くも、どういうひとなのかぱっと見で判断してしまう。
私だったらあまりにファッションコンシャスなひとには話しかけるのをためらってしまうし、シンプルでさりげなく上質な服のひととは話してみたいなと思う。
  • どういう態度でその場に臨んでいるのか
アクセサリーを着けているか、ジャケットなのかカーディガンなのか、どんなネイルをしているか、などで、そのひとの本気度みたいなものが伝わる。
そういうフィルタリング機能があることを意識して選んでいれば、エキセントリックな服ばかりじゃなくていいと思う。普通の服でも、好みによって細部にバリエーションがあれば楽しい。みんながみんな、ファッションで個性を強く表現すべきだとは思わない。
自分の存在を主張したり認めてもらうためにするのが自己表現だとしたら、どう見えるか、よりも何をどうやってやるか、で示せばよいと思うから。


ビルのような考えは、ニューヨークという土地柄ならではかもしれないと思った。
いろんな国籍、野心、アイデンティティを持ったひとたちが集まり、見知らぬひと同士が活発に交流する街だから、ぱっと見で分かるくらい強く個性を主張する文化なのかも。

そうだとしたらその文化はすごく刺激的。一度味わってみたいと思いました。