2014年10月13日月曜日

リンカーン

随分前だけど、映画「リンカーン」が良かったので感想を書き留めておく。
良かったというか、思いの外身近な話で勉強になった、という印象。

"あの人はこんなにすごかった” みたいな偉人伝的な話かと思いきや、"仕事での成果の出し方” というテーマで刺さるお話だった。
成果 / 結果にコミットして、方法は後からなんとかして考える、的なノリが弊社の雰囲気に似ていて身近に感じた。


■印象に残ったシーン
特に印象に残ったシーンは2つあった。

1. 長いこと衝突していた同僚が、リンカーンのやり方を理解してくれたシーン
その同僚は、「人は人種によって差別されてはいけない。」という理念をリンカーンと共有している人で、議員としてのキャリアが長く年齢も高い、頑固な老人として描かれていた。
せっかく同じ理想を描いているのに、彼はその理想を実現するための方法においてリンカーンと敵対していたという設定。

この映画は、「奴隷制度の撤廃」を法律に盛り込むことを達成するまでのリンカーンの取り組みを描いている。
その当時は当然偏見まみれで黒人の権利を認めようとしない人が多いし、奴隷制度がなくなると経済的に困る人もたくさんいた。
リンカーンがしたいのは黒人に対する差別をなくすこと。彼は自分の大統領任期内でできる最も大きくて効果的な施策は「奴隷制度の撤廃」を法律に盛り込むことだと考え、その取り組みに集中した。
法律の改正を達成するためには、黒人の権利を認めようとしない人に対して妥協した言い方をしたり、お金で票を集めるようなこともした。

一方リンカーンと衝突していた同僚は、理想主義すぎて最初から「すべての人が平等に生きる」という最終的なゴールを主張していた。決して妥協せず、反対派と真っ向からぶつかることになった。
そのもの言いのせいで余計に反対派の不興を買うことになって、現実をなにも変えられない状況になっていても、彼は構わずに理想を説き続けていた。

そんな彼が、リンカーンがどういう思いで反対派に妥協しているかを理解して、自分のスピーチ内容を変えたシーンがとても感動的だった。
リンカーンが掲げる理想が自分よりも低いわけではなく、今今の現実を変えるためにやるべきマイルストーンに集中しているだけだということを感じ取ったんだと思う。

理想の実現のためには自分の感情を脇に置いて行動する姿は美しいなと思ったし、人はこうやって成長できるんだ、と勇気をもらった。


2. 嘆いてばかりで重荷を自分で背負おうとしない妻に、リンカーンがうんざりするシーン
リンカーン夫妻は戦争で子どもを失った。
奥さんはずっとそのことから立ち直れずに、いつも愚痴を言ったりリンカーンを責めたりしていた。
その妻に対してとうとうリンカーンが激昂して怒鳴りつけるシーンがあって、すごくつらかった。

心の強さは人それぞれだと思う。
あまり強くない人は、人に話して不満をガス抜きしたりつらいできごとからしばらく顔を背けて休んだりするべきだと思うし、その中で人に頼ることもたくさんあっていいと思う。
だからといって、まわりへの気遣いを忘れて、立とうともしない態度はだめだと感じた。
私もつらい時に同じように振る舞ってしまうかもしれないので、そのシーンは見ていてとてもきつかった。

元気な今意識しても役に立たないかもしれないけど・・・常に視野は広く持って、まわりの人への思いやりはなくさずにいようと思った。



■仕事について思ったこと
"仕事での成果の出し方” というテーマで見て、勉強になったことについて整理しておく。

この映画での「人種差別をなくすこと」と「奴隷制度の撤廃を法律に盛り込むこと」は、仕事全般においては最終的な「目的」と目的達成への道のりの中にある「達成事項」のといえると思う。

リンカーンは「奴隷制度の撤廃を法律に盛り込むこと」という達成事項の設定がとても明確で迷いがなく、その達成にコミットしきっていた。

翻って、自分の仕事ぶりは「達成事項」へのコミットが弱いと感じる。
今の仕事は、幸せなことにわりと自由に仕事させてもらっているので、「達成事項」もある程度自分で決められる。
目的は理解していて、いろんな「達成事項」の可能性がある中でこれだというものを決めているはずなのに、他の可能性に対する迷いが消えなかったり、達成に対する貪欲さが足りなかったりする。

原因を考えて見るに、要は責任を引き受けきる勇気が足りないんだなと思った。
勇気がないから、 自分の設定した「達成事項」を信じきれないし、その達成に向けて全力で動けていないんだと思う。

勇気を持つということを具体的にどういうアクションにつなげればいいか考えた結果、下記を実行していくことにした。
「達成事項」達成の定義を決める
・達成までの中間ポイントとそれぞれの期限を決める
・本当にその「達成事項」でいいのか、繰り返し考える


ということで、やたら仕事のことを考えてしまう映画ですがおすすめです。